後継者・事業承継の失敗事例を簡単にわかりやすく解説6

後継者・事業承継の失敗事例を簡単にわかりやすく解説6

親族を後継者にして事業承継に失敗した事例

事例6−1 娘婿との関係が悪化して事業承継に失敗した事例

L社の経営者には、男の子がいませんでした。子供は女の子が1人でしたが、会社経営には何も興味がなく、花嫁修業にいそしんでいました。後継者を誰にしようか迷った社長は外部から招くよりも、番頭格の従業員に継がせたほうがよいだろうと考えました。幸い後継者候補が独身だったこともあり、自分の娘と結婚させて継がせることにしました。

最初は、後継者も一生懸命に頑張っていたのですが、やがて些細ないさかいから夫婦仲が悪くなりました。先代は、孫を可愛がって、後継者は養子縁組もしていないことから、しょせん自分は孫に継がせるまでのつなぎ役であり、妻も自分に愛情がないと思い悩むようになりました。結局、夫婦は離婚して、後継者は会社を去ってしまいました・・・・・。

事例6−2 婿養子に意欲がなくて事業承継に失敗した事例

M社は、中小企業ではありますが、優良な取引先を持つ優良企業でした。社長夫妻には男の子がいなくて、娘が2人でした。300人ほどいる従業員のためにも会社を存続させなければならないと考え、優秀な従業員を娘婿にしたいと考えましたが、こればかりは両親の思い通りには進みませんでした。

結局、長女は恋愛結婚により嫁に行ってしまったので、次女には何とか婿を取りたいと願いました。その結果、次女が自分で選んできた相手を説得して、後継者になる約束で婿に迎えました。それから十数年が経過して、娘婿は専務に就けていますが、もともと経営には興味を示さなかったこともあり、なかなかバトンタッチができない状況にあります。

娘婿が後継者として意欲に欠ける原因は何か?
  • 娘婿を無理やり後継者に据えようとしたために、娘婿は自分の意志ではないという逃げ道を作っていた
  • 親も本当の息子ではないために、会社にいてもらうことを優選して、強く指導できないままいた
  • 現社長に比べて専務は誰の目からみても経営意欲に欠けるために、従業員の信頼も得られなかった
  • 経営環境も急激に悪化してきたために、新しい課題に取り組むことが必要だが、専務にその意志はない
  • このまま専務を社長にしてもよいのか、外部に人材を求めるのか、新たな迷いが生じている・・・etc.
娘婿に後継者として経営意欲を持たせるポイントは?

事業承継を成功させるためには、現経営者にも後継者にも、それぞれの役割を果たすという覚悟が必要です。後継者となることを承諾したのであれば、きちんと社長を引く継ぐのです。また、後継者を選定したのであれば、迷わずその後継者に社長を引き継ぐのです。

したがって、この事例では、再度、後継者としての自覚を確認して、引き継ぐということでしたら、現経営者は何も遠慮なく娘婿に接して、どのようにして欲しいのかを具体的に語ることが大切です。娘婿との信頼関係を築かなければなりません。

←後継者の失敗事例を簡単にわかりやすく解説へ

タイトルとURLをコピーしました