後継者・事業承継の失敗事例を簡単にわかりやすく解説5

後継者・事業承継の失敗事例を簡単にわかりやすく解説5

子どもを後継者にして事業承継に失敗した事例(4)

事例5−1 兄弟で内輪もめをして事業承継に失敗した事例

J社では、先代の2人の息子が会社に勤めていました。現社長は幼少の頃から長男を後継者と決めて、大切に育ててきました。長男は比較的のんびりした性格で、周りからの評判も良かったのです。ところが社長が後継者の最終仕上げとして、新規事業を長男にまかせたところ、思うような成果をあげることができませんでした。

それを機会に、社内での長男の評価が落ち、それと同時に次男が自ら後継者の名乗りを上げて、派閥を強化しました。長男は大学を卒業してすぐに自分の会社に入ったのに対して、次男は他の企業で修行を積んでから入社しました。長男を後継者と信じて取り巻いていた社員と、次男の実力を認める社員との間で、会社を2分する泥沼に陥ってしまいました・・・・・。

事例5−2 会社分割が裏目となり事業承継に失敗した事例

K社は、創業者が有名店で修業を積んだ後に開業した日本料理店であり、堅実に業績を伸ばして、13店舗を展開するようになりました。社長には3人の男の子がいて、3人とも料理店に従事していました。兄弟仲はよく、社長を中心に経営はすこぶるうまくいっていました。ところが、社長が遺言を作成しないまま急逝すると、事態は一変しました。

とりあえず社長には長男が就いたのですが、株式をはじめとして、事業資産は兄弟が一歩も譲らずに、3分割されることとなったのです。長男が方針を出しても、3人が互角であるという意識で、次男と三男が、敢えて反対意見を主張するのです。結局、企業内はバラバラになり、会社を3つに分割することになりました。当然、企業規模が小さくなるので、取引条件も悪くなり、各社とも業績が悪化する事態となりました。

なぜ会社が分割されて事業承継に失敗したのだろうか?
  • 創業経営者がいつまでも兄弟は仲良く会社の運営に協力をしていくものだと信じ込んでいた
  • 自分が急に亡くなるとは思わずに、自分が死んだ後の事を本気で心配していなかった
  • 先代経営者は遺書を作成することなく、口頭だけでいつまでも兄弟が力を合わせるようにと言っていた
  • 兄弟はそれぞれ結婚しており、兄弟だけでなく配偶者をも巻き込んで意地の張り合いとなった
  • 結果的に3人とも経営者となったが、3人で団結していた頃に比べると経営が悪化した・・・etc.
会社分割を防ぐためのポイントは?

会社分割は必ずしも間違った方法ではありませんが、もともとそれほど大きな規模ではない企業の場合、会社分割によって企業の業績が悪化する可能性が高い場合には避ける必要があります。この事例で最もいけないのは、創業経営者が自らの意志を遺言書の作成によって書き残していなかったことです。

父親は漠然と長男を中心に協力するものと思っていたようですが、今の時代は法定相続にのっとって兄弟がそれぞれの取り分を主張することは、当然予測しなければなりませんでした。

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