事業承継とは?Q&A形式で簡単にわかりやすく解説11

事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説11 事業承継と株式評価額

Q57.事業承継で株式評価額を下げるとは?

事業承継で株価が高いと相続税が高騰してしまい、後継者に株式を譲渡するのが難しくなります。株式評価額を下げるためには、ひとことで言えば純資産を減らすということになります。純資産は一般に利益が出れば増えて、損失が出れば減ります。損失を出すためには経費を大量に使えばよいのですが、実際にはそれほど単純なことではありません。損失を出すと会社の資金が減少するので、経営が危うくなります。また、損失を出して株価が下がると金融機関からの融資が受けにくくなります。したがって、株価を下げることと、資金繰りを円滑にすることのバランスをどう取るかが重要なポイントとなります。

Q58.事業承継で役員報酬の引き上げで株価を下げられますか?

役員報酬を引き上げると、会社の経費が増えるために、損失が発生する可能性が大きくなります。特に、現社長が代表権を持つ会長になり、後継者を社長に据えれば、会長と社長の両者の役員報酬を引き上げやすくなります。役員報酬はオーナーに行くのですから、現金は確保できるという利点があります。ただし、役員報酬は税務適正金額の範囲内に収めることが大切です。また、役員報酬を引き上げると、所得税や住民税が増えるので、注意が必要です。また、株主構成によっては、役員給与の一部が損金とみなされない場合もあるので、これにも注意を要します。

Q59.事業承継で役員退職金の支給で株価を下げられますか?

現社長が引退する場合には、役員退職金を支給します。この金額は大きいので、会社の純資産が減って株価を下げられます。さらに、退職金は税法上も一般の給与とは分離して計算されますので、税務的にもメリットがあります。退職金は現社長に支払われるわけですから、オーナー一族に留保されるので、資金が外部に流出しないですみます。その意味で、役員退職金の支給は、最も効果のある株価対策ということができます。

Q60.事業承継で役員退職金のお金がないときは?

いざ役員退職金を支払おうと思ったら会社にお金がないという場合にはどうすればよいのでしょうか。役員退職金が確定するのは、株主総会で決議された日ですから、その日に未払役員退職金として処理してしまえば、貸借対照表上は、負債が計上されるので、純資産は下がります。すなわち、株価を下げるという目的は達成することになります。しかし、現金は支給できなくても、個人資産は未収金として増えることになりますので、相続税の対象となる点には注意して下さい。

Q61.事業承継で配当金を減らして株価を下げられますか?

事業承継においては、ほとんど純資産価額方式と類似業種比準価額方式か、その併用で株価評価がおこなわれます。このうち、類似業種比準価額方式では、配当金は計算式の要素の1つであるため、配当金を減らすことは、類似業種比準価額方式に関して株価低下に有効です。もっとも、実際の計算にあたっては、様々なルールがあるため、専門家に相談することが大切です。

Q62.事業承継で不動産を購入して株価を下げられますか?

個人の資産家が賃貸用不動産を購入して相続対策に使う手法ですが、会社オーナーにも適用できます。賃貸用不動産を購入すると、現金預金が減少して、不動産資産が増加します。借入金で購入すると長期借入金が増加して不動産資産が増加します。これだけでは純資産を減らすことにはなりません。それでは、不動産購入がどうして株価低下対策になるかというと、土地の評価額の路線価格は時価より低くなる場合が多く、建物評価額の固定資産税評価額は時価より低くなる場合が多いために、購入価格と差額が生じるからです。ただし、実際には諸条件が必要となりますし、不動産賃貸業には事業リスクが伴うので、専門家に相談することが大切です。

Q63.事業承継で保険を活用して株価を下げられますか?

保険には、大きく分けて3種類あります。定期保険、終身保険、養老保険です。この中で積立金ではなく損金として扱われるのは定期保険のみです。定期保険は一般に掛け捨て保険が基本なので、節税にはなりますが資産として留保はできません。そこで、株価を下げるために有効なのは、後から解約返戻金が得られる利益繰延型の保険ということになります。また、養老保険でも、全従業員が加入するなどの要件を満たすと、掛け金の半額を損金として認められるものがありますから、これも株価低減に有効な保険と考えられます。

Q64.事業承継で不良資産処理で株価を下げられますか?

不良資産とは、売掛金、受取手形などの未回収の債権や在庫、不動産、遊休設備、ゴルフ会員権などの活用されていない資産のことを意味します。これらを処理すると、金額が大きいので、帳簿上は多大な損失となりますが、実際には現金が流出しないことから、株価を下げるためには極めて有効な手法となります。また、株価対策だけではなく、不良資産処理は資本効率化の観点からも、経営上不可欠なものです。ただし、実施に当たっては税務上の制約に注意する必要があります。

Q65.事業承継後に粉飾決算が発覚したときは?

中小企業では、資金繰りのために金融機関に良い決算書を見せたいとか、税金を少しでも減らしたいなどの理由で、粉飾決算をしている会社があります。粉飾決算の手法は、資産の課題計上か、資産の過少計上か、どちらかです。後継者が事業承継した後で、粉飾決算が発覚したら、どのようにすればよいのでしょうか。こんな時、後継者がやらなければならないことは、事実解明です。いったいいつ頃から粉飾決算をしていたのか、ごまかしていた金額はどれくらいか。もし粉飾がなかったとしたら、現在の財務状況はどうなっているかなどを、正確に把握します。事業承継において、後継者に迷惑をかけたくなければ、経営をバトンタッチする前に、先代経営者が解決しておくことが望ましいことは言うまでもありません。

Q66.事業承継後の粉飾決算にどう対処すれば?

事業承継後に粉飾決算が発覚したら、2段階で解決を図る必要があります。1つは、粉飾を元に戻して正しい内容に戻すことです。ただし、一度に戻すと、莫大な赤字になる可能性がありますから、このような場合には、3年から5年かけて、少しずつ戻していきます。後継者だけでは難しいので、必ず税理士に相談して実施します。そして、もう1つは経営の立て直しです。もし利益を水増ししていたのであれば、実情は利益が出ていなかったわけですから、正しい決算で利益が出るように、経営を改善しなければならないのです。事業計画を立案して、全社一丸となって経営改革に取り組む必要があります。先代経営者がやったことであっても、事業承継した以上は、後継者が責任を持って改善を推進しましょう。

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