事業承継とは?Q&A形式で簡単にわかりやすく解説4

事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説4 地位の承継

Q18.事業承継の後継者をいつ役員に起用すべきですか?

子どもを後継者に据えるのであれば、会社に入社させたときから、従業員や取引先など周囲の人はいずれ社長になるのではないかと思っています。したがって、部長職などの管理職を担当したら、できるだけ早いタイミングで役員に就けるのがよいと思います。役員として自分なりに経営内容を分析する視点を持たせなければなりません。そして、社長の地位を渡す2年くらい前には、専務取締役に任命して、実質的な経営をまかせてみることが望ましいと考えます。

Q19.事業承継の後継者にいつ代表権を与えるべきですか?

企業運営の総責任者は代表取締役ですから、後継者に代表権を与えた時点で、はじめて本当の意味で経営をまかせることになります。したがって、後継者を代表取締役にするタイミングは、社長の地位を渡す2年くらい前に、後継者を専務に任命するときがよいのではないかと思います。現経営者は社長として後方から見守りながら、日常の会社運営はまかせていくのです。このように代表取締役が現経営者と後継者で重ねる期間を置くことで、事業承継を円滑に進めることができます。

Q20.事業承継の後継者をいつ連帯保証人にすればよいですか?

株式会社は、本来は出資分だけの有限責任であるはずなのですが、日本の金融機関は中小企業に対しては、代表取締役の個人保証がなければ融資に応じてくれないので、経営者は必ずといってよいほど会社の連帯保証人になっています。後継者を連帯保証人にする場合、そのタイミングは、後継者を代表権を持つ専務取締役に任命したときということになります。なお、経営承継円滑化法を活用して、後継者を連帯保証とせずに融資を受ける方法も検討するとよいでしょう。

Q21.事業承継で年配の幹部社員の処遇は?

事業承継に当たって、現経営者が引退するとき、年配の幹部社員の処遇はどのようにしたらよいのでしょうか。後継者のお目付役として残しておきたい気持ちもあるかもしれませんが、できれば社長と共に引退してもらい、後継者を中心に幹部社員も一気に若返りを図ることが理想です。なぜならば、後継者が会社運営をやりやすい環境を作ってあげることが先代社長の役割だからです。ただし、年配の幹部社員には退職金の割り増しを与えるなど、引退に当たって手厚く対応してあげることは大切です。

Q22.事業承継で取引先への根回しはどうすれば?

事業承継の後継者を内定した後は、取引先への根回しをすることが必要です。取引先は現経営者との信頼関係で取引をしているのですから、経営者が交代することに不安を持つはずです。それゆえ、後継者選定についてさりげなく話題を持ちかけるなど、事前の根回しは重要です。ただし、信頼できる重要な取引先のみに絞らないと、社長が近々辞めるという噂が独り歩きすると経営にマイナス要因となりますので、この点には要注意です。そして、後継者にバトンタッチした後も、時々、後継者と一緒に取引先を回って、引き継ぎが円滑に進むようにバックアップすることが大切です。

Q23.事業承継で金融機関への根回しはどうすれば?

オーナー企業の経営において、金融機関との関係は極めて重要です。したがって、後継者の内定後には金融機関に対して十分な根回しが必要です。具体的には、企業の将来をどうしたいのか、それにふさわしい後継者はどうあるべきかなど、経営者の考えを話しておくことです。後継者にも、どういう経営者になって欲しいかという要望をしっかりと伝えておきます。金融機関に対しても、取引先と同様に、社長が近々引退するという噂だけが独り歩きしないように、十分に注意する必要があります。また、後継者にバトンタッチした後も、時々一緒に出向いて、引き継ぎが円滑に進むようにバックアップします。ただし、後継者には経理・財務の勉強をきちんとさせて、経営数値の話は、後継者から話させるようにして、口を挟まないように注意します。

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