事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説2 後継者選定
Q8.事業承継は子どもに継がせるべきですか?
上場している大企業は別にして、未上場のオーナー企業では、子どもに特別な問題がない限りは、子どもに継がせるべきだと考えます。親から見て、多少問題がある程度なら、実際に経営者になれば大半はしっかりしてくるので心配はありません。当社の次世代経営塾のような後継者育成セミナーに参加させる方法もあります。子どもが継ぐ最大のメリットは、周囲の理解が得られやすいことです。優秀な幹部社員がいる場合でも、オーナー企業では後継者なら妥当と納得してくれることが多いのです。
Q9.事業承継で後継者の資質を判断するポイントは?
後継者の資質をひとことで言うのは困難ですが、敢えていえば、人間性が一番重要だと思います。具体的に言えば、上下の人間関係におけるコミュニケーション能力があることです。そして、社会ルールが守れること。通常の金銭感覚を持っていることなどでしょうか。この点に関して詳しくは後継者の心構えをご覧ください。
Q10.事業承継で後継者を選定する期間はどれくらいですか?
後継者を選定する期間は、早ければ1年くらいですが、特に決まった期間があるわけではありません。経営者の現在の年齢と、経営者がいつ頃引退するかによって、左右されます。経営者が若ければ時間をかけて選定することができますし、経営者が引退間近であれば短期間で選定しなければなりません。したがって、まず経営者が自らの引退時期を決めて、そこから逆算して、後継者をいつまでに選定して、いつまでに教育を終え、いつまでに役職に就けるなどの、自社に適した事業計画を立てることが大切です。
Q11.事業承継で兄弟2人に仲良く承継して欲しいときは?
一般的な意味では仲の良い兄弟でも、1つの会社を2人で継ぐことは非常に困難です。経営に対する意見が異なると、対立関係になりますし、下手をするとそれぞれが派閥を作って、社内を2分するような不安定な関係に陥ることもあります。このような事態を防ぐ方法として、会社分割というやり方があります。例えば、1つの会社を2つに分割して、製造部門を兄に、営業部門を弟に譲渡して、2人とも経営者にするのです。それぞれの特性を見極めて、早くから構想を練り、それぞれの部門に強くなるようなキャリアを積ませるとよいでしょう。また、会社分割は兄弟に分けるときだけではなく、事業承継に当たって不要な部門のみを他社に譲渡してスリム化した上で、譲渡するという活用法もあります。
Q12.事業承継で子どもの後継者に反対が出た場合は?
上場企業は別にして、未上場のオーナー企業では、余程のことがない場合は、子どもに継がせるのが最も周囲の理解を得やすく、会社が安定します。それにもかかわらず、周囲から子どもの後継に対して反対が出た場合は、どのようにしたらよいのでしょうか。大事なことは、誰がどんな理由で反対しているのか、真相を調べることです。単に根回しが不十分なために反対しているのか、後継者に大きな問題があると考えて反対しているので、状況はまったく異なります。いずれにしても、オーナー経営者が一方的にごり押しするのではなく、時間をかけて周囲の人に納得してもらうことが大切です。可能な限り子どもを後継者にするように説得しますが、子どもに人格的な問題があるなど、どうしても無理な場合は、子ども以外の後継者を検討することも必要です。