事業承継とは?Q&A形式で簡単にわかりやすく解説16

事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説16 事業承継後の社内外との関係

Q93.事業承継後の社内親族との接し方は?

同族会社では親族が会社内に複数いる場合があります。親子間は社長と社員という関係で、比較的、公式な関係を保っていることが多いのですが、兄弟間ではざっくばらんな関係を築いている場合があります。このような関係の中で、子どもの一人が後継者として社長の地位に就いた場合は、少し関係を改める必要があります。具体的に言うと、従業員の前で、社長の面子をつぶすような反対の仕方をしないとか、自らの考えで社長の指示を軽視したり覆したりしないということです。兄弟仲が悪かったり、指示がバラバラに出たりするほど、従業員にとって不幸なことはないからです。社長になった後、どのような点に注意すべきか、兄弟間で時間を取って話し合うことが必要です。また先代経営者も社長の地位を譲った後は、できるだけ後継社長の面子を立てるような接し方をするように注意します。

Q94.事業承継後の従業員との接し方は?

後継者は常に従業員から先代経営者と比較されるという立場に身を置いています。それを払拭しようとして、従業員に対して必要以上に虚勢を張ったり、威張ってみたりする後継者がいますが、これはマイナス効果です。後継者に実力がついてきて実績を示せば、自ずと尊敬されるのですから、態度だけが尊大にならないように注意します。後継者は年代も若いのですから、従業員の視点まで降りて行って、一緒になって運営に取り組むという姿勢が望ましいと思います。もちろん、最終責任は社長が取るのですから、決断は自らの考えで行い、会社として決めたことは断固として守ってもらうという厳しさは必要です。

Q95.事業承継後の古手社員との接し方は?

後継社長が頭を悩ますことの1つが、古手社員との接し方です。古手社員の中には、自分が子どもの頃からよく知っていたので、いまだに子ども扱いする人がいる場合さえあります。後継社長として大事なことは、公私の区別をしっかりと分けるようにしてもらうことです。仕事上は、組織の指示系統を守ってもらいます。役職名や言葉づかいもしっかりとチェックします。ただし、組織上は社長のほうが上ですが、人間としては古手社員のほうが年上なので、自分から相手に対する言葉づかいも丁重にすることは当然です。また、時折、古手社員に相談を持ちかけて存在感を認めてあげるなど、できるだけ相手を立てながら友好関係を築くことも大切です。

Q96.事業承継後の取引先との関係づくりは?

事業承継で経営を引き継いだら、後継者は取引先との関係づくりをしっかりと築いていくことが大切です。先代経営者の関係を引き継ぐわけですから、まずは、先代のやり方をそのまま踏襲することが大切です。面談頻度、ゴルフや宴席のお付き合い、中元・歳暮など、できる限りすべてまねしてみます。実際にやってみると、かなり大変なはずです。外から見ていたのと、当事者になるのとでは、ずいぶん違ったエネルギーが必要だと感じるに違いありません。そうすれば、取引先は経営者が後継者に変わっても、何も変わらないことに安心感を持つはずです。また、必要に応じて、先代経営者にも同席してもらって、人間関係の継続性を高めることも大切です。1年間は完全にまねをして、その後、少しずつ改善を加えていけば、自然と自分のカラーが出てくるものです。

Q97.事業承継後の金融機関との関係づくりは?

未上場企業の経営において、最も苦労するのは資金繰りです。したがって、経営者になったからには、金融機関との関係づくりは極めて重要です。金融機関とも人間関係はもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは経営数値です。後継者は、経理・財務の知識を学んでおき、自社の経営数値は完全に把握しておくことが必要です。細かい点よりも、まずは大局の数値を頭に入れるようにします。もう1つは、経営数値から自社の強み・弱みを的確に分析して、改善ポイントを明確にすることです。自社の経営内容を数値で伝えて、改善策を明確に示すことで、金融機関との関係づくりでは良くなります。毎月、こまめに顔を出して、機会あるごとに経営報告をする習慣づくりをしましょう。

Q98.事業承継後に増資を勧められたときは?

事業の種類にもよりますが、売上と利益剰余金の額を大きな企業では、金融機関から増資を勧められることがあります。金融機関から見ると、ある程度資本が大きいほうが安心感を持つことも確かです。ただし、資本金が大きくなると、税務上の条件が変わることがあるので、その点には注意が必要です。増資をするには、いろいろな方法がありますが、一般によく使われる方法には、株主割当増資と第三者割当増資があります。株主割当増資とは、従来の株主に対して株式を割り当てる方法です。この方法だと、資本金は増加しますが、会社の支配権には影響を与えません。第三者割当増資は従来の株主とは異なる株主に対して新株を割り当てる方法です。この場合は、誰に割り当てるかという問題と、株価をいくらにするかという問題が発生します。第三者割当増資は、株式の分散を招く恐れが生じますので、慎重に検討する必要があります。

Q99.事業承継後の社外人脈の作り方は?

経営者は孤独だとよく言われますが、これは真実です。社内の人には誰にも相談できないような悩みも抱えなければならないものです。また、社内にいるだけだと限られた情報しか入ってこないので、どうしても視野が狭くなりがちです。このような課題を解決するために、社外に仲間を作ることが大切です。社外人脈を作るためには、金融機関などが主催する経営者会や、異業種交流会などに積極的に参加することです。また、他企業の後継者と定期的に集まって、話し合うのもよいでしょう。経営コンサルタント、弁護士、税理士などの専門家とチームを組むことも効果的です。いずれにしろ、普段の仕事では合わない人脈をいかに数多く作れるかが、経営者としての成長につながるはずです。

Q100.事業承継後から次の事業承継を開始する?

事業承継は、経営者にとって最大の仕事です。それゆえ、自分が後継者として会社を引き継いだからには、より会社を繁栄させて次の世代に会社を引き継いでいく使命を担ったということです。自分もいつか事業承継をする側になるのですから、経営者になったその日から、次の事業承継を意識する必要があります。まだ、具体的なことまで考える必要はありませんが、自分はいつ頃にリタイアして、その頃にはどのような企業にしておきたいかなどの将来ビジョンを描く作業から始めます。そうすると、いつ頃には後継者を選定して、後継者教育にどのくらいの期間を当てるかの目安がわかります。子どもがいるのであれば、その年齢と重ね合わせて構想を描くこともできます。まだ先は長いので、不確定要素も多いのですが、漠然とでも構想を持っているか、まったく持っていないかで、会社運営や次の事業承継は、大きく左右されるはずです。

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