事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説14 相続時精算課税制度
Q80.事業承継の相続時精算課税制度の基本知識は?
事業承継における相続時精算課税制度とは、ひとことで言えば、贈与税を相続税の前払いとしてみなすという制度です。具体的に言うと、生前贈与の時点で財産権は移転しますが、税金は相続税として計算してもらえるということです。さらに、非課税枠(2500万円)も設けられています。
Q81.事業承継の相続時精算課税制度の詳しい内容は?
相続時精算課税制度には、前提条件があります。平成27年から対象者の範囲が拡大され、贈与者は60歳以上、受贈者は20歳以上の子や孫であることが必要です。年齢の判定は、該当する贈与があった年の1月1日現在です。また前項でご説明した非課税枠が設けられています。非課税枠は贈与者1人に対して一律に決められているので、非課税枠の範囲内ならば、何度贈与しても構いません。
Q82.事業承継の相続時精算課税制度活用の注意点は?
相続時精算課税制度を実際に活用するためには、様々な注意点があります。適用要件は前項でご説明した通りですが、この制度を利用した場合には、通常の贈与制度を利用することはできません。そして、この制度の性格上、相続の発生を明確にする必要がありますので、最初の確定申告で相続時精算課税制度を選択する旨の届け出書を出すとともに、税額がゼロでも申告をする義務を負います。相続時精算課税制度の活用手続きについては、専門家にご相談下さい。
Q83.事業承継の贈与と相続時精算課税制度の両立は?
前項でもご説明しましたが、通常の贈与と相続時精算課税制度の両立はできません。また、不動産等の価格が変動する財産の場合には、贈与した時点より相続時点の価値が下がる可能性があり、相続時精算課税制度を選択していると、もし価値が下がった場合でも、贈与時の価格が適用されるリスクがあります。一方、平成29年度の税制改正により、相続時精算課税と事業承継税制を併用することができるようになりましたので、これらの制度を踏まえて、事業承継の相続税対策を行うとよいでしょう。