事業承継とは?Q&A形式でわかりやすく解説5 親族以外の後継者
Q24.事業承継で親族が会社を継がない場合は?
上場企業は別として、未上場のオーナー企業の事業承継では、多少の問題があったとしても、年長の子どもが承継するのが、最も周囲の理解を得やすく、すんなりと承継できることは確かです。もし年長の子どもが後継者にならない場合は、他の子か、甥姪などの親族に譲るのが次善の策です。問題は、承継すべき適切な親族がいない場合です。このような場合に、まず考えるのは従業員への承継です。
ただし、人望があり能力にも優れた人材でなければ、親族ほどの理解は得られません。また、同レベルの従業員が競っている場合には、片方が承継すると、もう片方が辞職してライバル会社を設立するなどの問題が生じる場合があります。したがって、社内から後継者を選定する場合は、親族に承継するときよりも十分な時間をかけて、慎重に根回しをすることが大切です。
Q25.事業承継で社外から後継者を選ぶ時の注意点は?
事業承継に当たって、親族にも社内にも後継者として適切な人材がいない場合はどのようにしたらよいでしょうか。この場合は、社外に人材を求めることになりますが、親族や従業員から選ぶよりも、さらに周囲の納得が得られるような人材を探してこなければなりません。
それでは実際にどうするかというと、まず取引先から紹介してもうらうという方法があります。規模の大きい取引先には優秀な社員がいますし、取引関係も強固になることが期待できます。次に金融機関からの紹介や派遣。これはごく一般的に見られる方法です。取引先や金融機関などのしがらみを嫌う経営者の場合は、人材会社に依頼する方法もあります。
Q26.事業承継で親族以外の後継者の持ち株比率は?
事業承継において親族を後継者とする場合には、株式を100%譲渡するのがよいのですが、後継者が親族以外の場合にはどうすればよいのでしょうか。考え方はいくつかあります。まず、株式はオーナー一族が持ち続けて、社長の地位のみ渡す方法。いわゆるサラリーマン社長です。オーナー企業では、社長の存在が大きいことから、この形態では経営に支障をきたす可能性もあります。したがって、本当の意味での事業承継をしようと思えば、特別決議の決定権を持つ3分の2以上を譲渡する必要があります。創業一族として会社に愛着があり、配当も期待したいのであれば、3分の1以下の範囲で株式を残しておいても構いません。
Q27.事業承継で後継者に株式購入の資金がない時は?
事業承継で親族以外の後継者を指名した場合には、株式購入の資金と連帯保証の問題が発生します。株式購入の資金が不足している場合に実施できる方法は3つです。まず、会社に潤沢なキャッシュがあるのなら、会社から後継者に貸し付けて、後継者はそのお金で現経営者から株式を買い取る方法です。これは会社にキャッシュがなければできません。次に、現経営者から個人的に借り入れて、返済していく方法です。リスク要因が大きくなります。そこで考えられる第3の方法は、MBO(Management Buyout)です。これは後継者がファンドなどの金融機関から資金提供を受けて、株式を買い取るという方法です。この方法は、将来的に上場が期待できたり、業績が急上昇する可能性がある企業でないと、資金提供者を確保するのは難しいと思われます。